腸と脳は繋がっている
腸が第二の脳と言われているのはなぜか。
体内に侵入した外敵やストレスに対して腸は脳よりも先に反応します。
胃から入ってきた食べ物は、まず小腸で消化を行い内壁から栄養分を吸収し全身の細胞に栄養を送る働きがあります。腸の調子が悪いと不安感が増したり、腹痛を起こします。
腸は脳に次ぐ多くの神経細胞があります。そのことから第二の脳と言われているのです。
また腸は幸せホルモンの神経物質セロトニンを90%分泌していてることから自律神経にも大きく関わっています。
自律神経は交感神経(活動時)と副交感神経(休息時)の2つの神経からできており、バランスよく働くことで自律神経の調和を保てています。
腸の働きが悪くなると自律神経にも影響が出て、うつ病や神経症を起こす原因にもなります。
腸の働き
そもそもで私たちの腸にはどのような働きがあるのでしょうか。腸が便を作ることだけが仕事だと思っている人が多いと思いますが、それはもう古いです。食べたものを消化・吸収する腸には「全身の免疫を司る」という秘められた重要な役割があります。腸内細菌が腸に集結する「免疫細胞」と全身を様々な病気から守る「免疫力」をコントロールしているのです。ここでは腸の7つの役割を紹介します。
<合成> 腸と腸内細菌で作られるもの
①酵素:食べたものを消化吸収するのはもちろん、呼吸したり筋肉を動かすなど生命活動に関与しています。中でも食べたものを栄養素に分解してくれる大切な消化酵素です。酵素を作れるのは腸と腸内細菌がメインで、食品からは難しいとされています。
酵素を減らす要因→酒やタバコ/過食/食品添加物/ストレスの多い環境/医薬品の使用/活性酸素を誘導するもの(電磁波やレントゲン)
②ビタミン:ビタミンB2→唇や肌を美しくするビタミン
ビタミンB1→糖を分解し、エネルギーに変えるビタミン
ビタミンK2→骨の強度を高め、血液を固めるビタミン
腸内細菌はこうしたビタミンを合成するのですが、腸内細菌のバランスが乱れるとビタミン供給が減ってしまいます。
③ホルモン:情報を伝達する物質で体の内外で起こったことを各器官に情報を伝え、それぞれの機能を誘導する生理物質のこと。インスリンもこの一つです。インスリンは食事を摂ると分泌され、血糖値を一定に制御する働きがあります。
腸は消化に関するホルモン以外にも重要なホルモンを作る場でもあります。別名「幸せホルモン」と呼ばれる「セロトニン」は脳内情報伝達ホルモンですが、体全体の90%は腸にあり、脳はたったの2%。セロトニンは精神を安定させ幸せにしてくれるホルモンです。
このように腸の中では様々なホルモンを作っています。腸内環境を整えることで、消化吸収が効率よく行われるだけではなく、精神の安定にも繋がるということです。
<消化> 食べ物を細かく分解します
食べ物は栄養素によって消化(分解)の段階が異なります。米やパンなど炭水化物の場合、唾液の消化酵素アミラーゼによって分解がスタート。一方、肉や魚、大豆などのタンパク質は胃に届いて初めて分解が始まります。腸には200種、100兆個もの腸内細菌が住み着いています。この中にヒトには消化できない食物繊維やオリゴ糖を分解して、エネルギー源にしてくれる腸内細菌がいます。私たちは自前の消化力だけでは栄養を十分に取り込めないので腸内細菌を頼っているのです。
そんな腸内細菌をダメにするもの
→添加物が入った菓子やインスタント食品/白米やパンなど主食の摂りすぎ
腸内細菌にいいもの
→納豆や味噌などの発酵食品/食物繊維
消化を助ける方法
小腸を食べ物が通過するのに5~8時間、ものによっては10時間以上かかるものもあります。この小腸の負担を軽くするためにも、アンチエイジングためにも、「よく噛んで食べること」をお勧めします。噛めば噛むほど唾液の分泌量が増えます。唾液は消化をサポートする消化酵素のほか、活性酸素を消去する酵素も含まれていているので、老化防止にもなるのです。
<吸収> 糖・アミノ酸・脂肪酸などの栄養素を吸収
栄養素の取り入れ口である小腸。小腸の長さは約6mでたくさんのヒダ状構造で面積を広げて無駄なく吸収します。とはいえ、食べ物が無秩序に吸収されるのではなく、専用の取り入れ口から厳密にコントロールされながら吸収されています。
反対に体で必要としない栄養分や異物などは体外に排除されます。細菌やウイルスといった外敵から身を守るために免疫システムが備わっています。食べ物の栄養は吸収しながら、病原菌はシャットアウトする腸。この重要な選別機能に関与しているのが腸内細菌です。
この腸内細菌が十分に働いていないと、腸は粘膜を正常に保てなくなり、腸粘膜に穴が開くことがあります。この穴から腸の食べ物の分子や腸内細菌、病原菌などが体内へ漏れ出ることを「リーキーガット症候群」と言います。
症状としては食物アレルギー/アトピー性皮膚炎/花粉症/喘息/下痢/便秘/更年期障害など
穴が開かないようにするには腸内細菌を増やして、丈夫な腸粘膜を作ることが大切です。そのためにも抗生物質や食品添加物、化学物質は控えましょう。また大量の飲酒や亜鉛などミネラル不足からも腸粘膜に穴が開きやすくなることも覚えておきましょう。
<排泄> 体に不要なものや毒素を体外に排出する
私たちの便は70~80%が水分、その他が食べカス、腸内細菌、腸粘膜などから構成されています。形成や排泄までの作業は大腸内で行われます。便には体内の不用物・有害物質も含まれています。薬物や環境ホルモンも便から排泄されています。このことから便は体内の不要物を体外へ排泄する要であることが分かります。
=便秘は不要物のみならず、毒素も体内に溜め込んでいる状態と言えます。
排泄をスムーズにするにするには、腸内細菌が生み出す「短鎖脂肪酸」がカギです。
この短鎖脂肪酸は腸内細菌が食物繊維を餌に生み出しています。様々な種類があり、役割も変わるため、多様な短鎖脂肪酸を多く生み出すことがスムーズな排泄に繋がります。このためには腸内細菌が何よりも大事になると言えるでしょう。バランスの良い食事、多くの種類の食物繊維を摂ることがポイントです。
食物繊維は二つに分かれます。
水溶性食物繊維:主に腸内細菌のエサになります。便の水分を保持して排便をスムーズにします
主な食品はリンゴ/海藻類/こんにゃく/オートミール/キウイ/バナナなど
不溶性食物繊維:便のかさを増し、不要物をキャッチする働き。
主な食品はさつまいも/ごぼう/豆類/きのこ/海藻類など
良い便を作るには、この2つの食物繊維のバランスが大切です。
※おならや便が臭いことは腸内細菌のバランスが乱れているサインです。食事の見直しが必要となります。
短鎖脂肪酸の働き
・脂肪の蓄積を減らし、代謝を活発にして肥満を防ぐ
・糖尿病改善ホルモン「インクレチン」を増やす
・アレルギーを抑えるTレグを増やす
・脳内伝達物質「セロトニン」の分泌を促す
<解毒> 腸の粘膜組織や腸内細菌が解毒を行う
解毒とは、体内に入ってきた、あるいは溜まった有害物質を無毒化して体の外に排出することです。この解毒を担うのが主に肝臓や腎臓ですが、この肝臓をサポートしているのが腸と言うわけです。腸でブロックできなかった有害物質が肝臓に運ばれて解毒処理されます。
=腸がちゃんと機能しないと肝臓に大量の有害物質が流れ込むことになります。
腸内細菌には有害物質を代謝する菌もいるが、この細菌が減ったり偏らないバランスを維持することが体内毒素を減らすことへ繋がります。
腸で作られるガスはおならとして出ます。本来ガスの多くは水素やメタンで、ほとんど臭いがない。でも食事のバランスが乱れて、アンモニアや硫化水素が出ると、臭いオナラになります。この臭いオナラが出たら要注意です。食事の見直しをしましょう。
<浄血> 良い腸内環境が腸内腐敗を防ぎ、きれいな血液を作る
血液の役割は主に酸素の運搬です。口から入った食べ物は消化酵素によって吸収できる小さな分子に分解され、腸で吸収されます。腸から吸収された栄養分は血液によって全身の細胞へ届けられるのです。
血液は骨髄はもちろん、肝臓や腸、全身の細胞で作られています。血液成分のうち血球や血しょうタンパク質などは体内で作られます。イオン・糖質・脂質などの成分は食事で栄養成分を体外から取り入れます。つまり外的要因(食べ物・腸内細菌)に影響を受けやすく、血液の質を大きく左右します。
=栄養成分の入口となる腸の状態・環境が血液の質に関わります。
と言うことは、血液の質は「食べたもの」と「腸の状態」で決定すると言うことです。
腸を健康に保つことは、血液をきれいに保つ上でも大切です。腸の健康を維持することは「浄血」の第一歩。消化・吸収・排泄・解毒の全てが整い、初めてきれいな血液の源となります。きれいな血液は肌ツヤだけでなく、全身の健康をサポートします。腸の活動をコントロールする自立神経のバランスを整えることも忘れずに!
<免疫> 腸内細菌と協力して腸の免疫細胞が病原菌やウイルスから体を守ります
免疫とは病気を防いだり、病気を治そうとする働きのことです。感染からの防衛、健康維持と増進、老化と病気の予防に大きく関わります。免疫力のおよそ70%が腸で作られています。
腸の中にある免疫細胞の働きによって病原菌を退治しているわけですが、この免疫細胞と深く関わっているのが腸内細菌です。この腸内細菌の種類と数を増やせば免疫力は高まります。
方法として腸内細菌の餌である穀類や野菜類、豆類、果物などの植物性食品・発酵食品を摂取する。逆に防腐剤や添加物は腸内細菌を弱らせるので避けたいです。
ちなみに、免疫力の残りのおよそ30%は心(主に自律神経)が決めています。そのために…
笑って楽しく過ごす/自然を感じる/適度な運動をする/前向きな思考をするなどを意識することでも免疫力は高まります。
過剰なストレスを溜めず、腸と心のどちらも健康に過ごすことが大切です。
まとめ
なぜ腸が「第二の脳」と言われているのかお分かりいただけたでしょうか。腸の働きからもわかるように、腸内細菌が様々な役割を担い、私たちの健康を守ってくれています。そんな腸を健康に保つためにも、ストレスを溜めない生活をすることはもちろん、食事にも気をつけてみませんか。みなさんを守れるのは自分自身です。添加物などの化学製品を控えてみたり、食物繊維を摂るようにするなど今からできることはたくさんあります。
皆さんと一緒に健康への第一歩を歩んで行けたら幸いです。
守ろう家族。守ろう未来。
コメント